麒麟田村氏推薦 味の向こう側と歌メロの向こう側の関係

shuntastic2007-09-20



吉本芸人、麒麟の田村くんの鉄板ネタは、もちろん貧乏ネタであることは有名だと思いますが、その中でも「味の向こう側」については、色々な意味で感動に値するネタというか実録ドキュメンタリーだと思うわけです。

エキサイトニュースにある「いこうぜ、「味の向こう側」へ」では、それが詳細に検証されており、経緯も下記のように書かれている。

彼は貧乏な生い立ちで、公園の遊具に住んだり、雑草の天ぷらを作って食ったりと様々な苦労をしてきたというのだが、そんななか、「味の向こう側」というものを発見したという。

たとえば、ごはんなどは「よく噛めば甘みが出てくる」というが、「噛んでいると甘みが出て、さらに噛んでいると無味になり、さらに噛んでいると、新しい味が出てくる。それが味の向こう側」というのが彼の説だ。
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091133202762.html

しかし、彼の説明をより忠実にするならば、

「お米は噛み続けると自然な甘味が段々無くなり、最終的に味が無くなるが、そこで諦めず更に噛み続けると、"一瞬だけフワッ"と味がする!!」

なのだ。この"一瞬だけフワッ"、ここが肝だと思うんです。瞬フワ。
このネタ(ドキュメンタリー)を初めて聞いたとき、デジャヴのような感覚に陥ったのだが、今朝方渋谷駅ホームにてやっと分かりました。
この感覚、似たような感じをかつて昔、誰かと喋った記憶があるなと。

麒麟田村くんがある意味でハマってしまったこの快感、端的に言うとそれは日本が誇るデジロックバンドTHE MAD CAPSULE MARKETS(以下、MAD)がデビューから96年まで(僕が追っていた時期まで)と酷似しているのです。
僕らはそのとき、「一瞬POP」という表現を用いておりました。
MADの初期作品しか詳しく知らないので、その後変化したあとはアレなんだけど、

  • 「P・O・P」(1991年)
  • 「カプセル・スープ」(1992年)
  • 「SPEAK!!!!」(1992年)
  • 「MIX-ISM」(1994年)
  • 「PARK」(1994年)

このあたりの楽曲を、聴き込んでいる諸兄なら「一瞬POP」の意味の深いところまで感じ取ってもらえるとともに、その中毒性と快感を理解してもらえることと思う。
この頃の楽曲は、ハードコアでミニマル。歌詞なんて非常に短かい上、KYONO(Vo.)がデスボイスで繰り返し唸り、サビAメロBメロサビBメロCメロサビサビ、という当時の黄金の展開でもなく、AAAAAサビ、AAAaaaサビみたいな展開が多い。当時の日本音楽産業を鑑みると、慣れてないリスナーたちには聴きづらかった面があったかと思うが、このAAAAAAA"サビ"←この部分が、MADが用意した麗しき一瞬POPなのである。
容量にして10秒ぐらい。
しかし、啓けるような超胸キュンメロディ。
そして、その登場の仕方があまりに唐突。
年齢=童貞暦の目の前を、ほしのあきが全裸かつ笑顔で、全速力で駆け抜けるようなイメージでよいかと思います。ノースリーブから出た白い腕は舞い降りた天使*1なのです。
これは完全に、田村くんが言うところの「味の向こう側」。じーっと耐えた先に楽園が待っている状態なのです。

わかるーわかるぞー田村くん・・・・・と強く共感できた気がした、そんな朝の渋谷駅。

ちなみに13年前、僕が初めて買ったバンスコ*2は、MADの「MIX-ISM」で、"プロレタリア*3"が好きでした。手元にCDもバンスコもないのですが、確かコードが3つしかなく、すぐできました。そしてすぐ違うバンドのスコアを買いました。今度はブルーハーツを・・・・

MIX‐ISM

MIX‐ISM

*1:ジーザス!ジーザス!/JUDY AND MARY

*2:バンドスコア、通称楽譜

*3:当時、高校1年生で単語の意味はわからず