トヨタ車とヒマラヤを飛ぶ鶴との、驚くべき深い関係

shuntastic2008-09-04



アネハヅルという鶴がいるそうだ。
寡聞にして知らなかった。


このアネハヅルは、ヒマラヤ山脈を越えて渡りをするツルとして有名、とされています。
ヒマラヤ山脈というのは、言わずもがなエベレストを含む地球上で最も標高の高さを誇る山々だ。
また、アネハヅルは鶴の中でも極小の鶴です。


いくら渡り鳥といえども、わざわざ何故ヒマラヤを越えねばならないのでしょう。
自然の摂理としていくらでも迂回のルートや、より簡単で安全なルートも考えられるだろうに。
それが本能ってやつじゃないの?と思ってしまいます。
気温は氷点下40度で、ヒマラヤほどになると呼吸すら危ういはずです。


また、超えねばならないことは所与のものだとした場合、何故そこまでして、その小さな躯体で、成層圏にも達しそうなジェット機レベルの高度を保ち飛行運動できるのか、その身体能力が摩訶不思議です。


そこの謎を解明し、なんと自社の製品開発に今にも生かそうしているのがTOYOTAだ、というのが今回の日経ビジネスの特集です。


サブプライム余波、および原油高に端を発したコスト増に苦しんでいるのは、TOYOTAとて同様だったそう。
カイゼンカイゼン効率化の鬼であるTOYOTAですら、です。


そこで、ふとなんだか発見したのがアネハヅル。
アネハヅルは躯体全体も屈強でないし、まして心臓や羽に通ずる筋力が、他に抜きん出ているからあのエベレストを越えられるわけではない。
きっと、筋力、肺活量、内臓などなど全体の最適化によって効率化し、最大限のパワーを生み出している、とTOYOTAは考えたわけです。
なんたるコロンブスのゆで卵。


なので、今回の特集タイトルは「トヨタの執念/解は自然界にあり−ダーウィンから始まったクルマの作り直し」なのです。
TOYOTAは、車はまだまだ自然界が"DNAレベルで研磨してきたカイゼン"に、全く及んでいないと考えている。


アネハヅルを研究することで、世界一カイゼンされているはずのTOYOTA車ですら、単にパーツを小さくする、工程を少なくする、部品を少なくする、といった部分最適以外のアプローチ、つまり超全体最適化が可能になり、飛躍的に効率化、コストダウンが図れるはずだ、ということだそうだ。


今回の日経ビジネス、いつもにも増して激しく感動しました。
TOYOTA、さすが。
やっぱり買うならTOYOTAだね。
ということで、これ以上のネタバレもなんなので、未見の方は是非本紙をご覧あれ。


人間の脳は様々な体の機能をどう制御しているのか。ヒマラヤ山脈を越える渡り鳥にはどんな特徴があるのか。
トヨタ自動車の開発陣はこんな研究をしている。会社挙げての原価改善活動「バリューイノベーション(VI)」の一環だ。連鎖的にモノの値上げが進む中、いかにコストを吸収し、競争力を保つか。トヨタが学ぶべき範と定めたのは自然界だった―。


photo by hobbes8calvin