借金をしてでもクルマを手に入れ、仲間や恋人とぶっ飛ばす

春秋(12/7)

 若者はなぜ自動車を買わなくなったのか。自動車メーカーで販売戦略に携わる人が、ある研究会で理由をあげた。所得の減少。公共交通の充実する都市部への人口集中。未婚率の上昇。こうした要因に加え価値観の変化も大きいという。

▼「デートにクルマはいらない」「クルマに金をかける男はダサい」と言う女子大学生。「友人を乗せて事故などの責任を負うのが嫌」「税金や駐車場などにいくらかかるか分からないのが不安」と言う男子大学生。市場調査で集めた生の声に、クルマ好きが多い自動車業界の大人たちは大きな衝撃を受けたそうだ。

▼借金をしてでもクルマを手に入れ、仲間や恋人とぶっ飛ばす。昔の映画のような青春像へのあこがれは乏しい。自動車だけではない。今の若者は上の世代と違って「3K商品」に関心が薄いと、マーケティングを研究する松田久一さんは近著で語る。3Kはクルマ、カデン(家電)、カイガイ(海外)旅行を指す。

▼消費にまったく興味がないわけではない。ファッション、ゲーム、情報機器、家具、外食への関心は高い。日常的で事故とも無縁。しかも、買う時期を待てば値段が下がるものが多いと松田さんは言う。値段は下がる。買い物は先送りがお得。それが若者の常識だとすれば、財布を開いてもらうのは容易ではない。

NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091206as1k0500105122009.html

もうすでに若者ではなくなった気もするが、従来の発想でいうと消費を牽引すべき世代として我彼の感想は如何に。

個人的に気になるのは「借金してでも・・・・あこがれは乏しい。」という部分。
これは、右肩上がりの経済成長があってこそのオジサン発想で、物心ついた時から不況だった世代には全く意味不明に映るハズ。
逆に、キャッシュで決済できるファッションやゲーム云々は、実質金利に関係ないため「比較して関心は高い」となるのでは。

なので、「値段は下がる。買い物は先送りがお得。」ではないのではなく、有る意味、先送りさえお得でないという合理的期待仮説が蔓延していたりして。
ええ、もちろん完全市場じゃないですが。
持ち家借家論争も近い議論かも。


大卒男子生涯賃金約2億8千万円*1が逓減する、と聡明な女子学生Aが予想したならば「クルマに金をかける男はダサい」と言うのも頷ける。


そう考えると、結局小銭を仕分けただけというメディア向け茶番イベント「事業仕訳」は、お父さんの給料が減ったからトイレの電気はちゃんと消すのよレベルの対症療法で、爪に火を点す生活は相変わらず、子ども達はより一層お小遣いを使いません。

*1:'05 独立行政法人労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計-労働統計加工指標集-2008