ざっくり分かるファイナンス読了

shuntastic2007-12-10


ざっくり分かるファイナンス−経営センスを磨くための財務−を読了

ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書)

ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書)

かなり以前より仕事など諸々の要請から、会計およびファイナンス知識が必要で、大学生時代の統計本を読み返したり、新たに色々なソレ系の書籍を購入して読んでみたところ、最もカンタンにオツなポイントが分かるのが本書だと思った。
本書は、1つの問いから始まる。
「会計(アカウンティング)と財務(ファイナンス)の違いがわかりますか」
この問いに

一番の違いは、会計は「利益」を扱い、ファイナンスは「キャッシュ」を扱う

と明快に答えている部分が、本書全体のニュアンスを表していると思うわけだ。「んなこたぁわかってるよ」「一概にそうとも言い切れない」と聡明な諸兄は思われるかもしれませんが、学生時代、原価計算論ぐらいしか習わず、しかも、会計やファイナンスはツールであって学術じゃない、とか思ってた似非経済学徒の僕には溜飲が下がる思い。


もっとも、これを読んだからといって、突然FXに長けるようになったり、デイトレやインド株で活躍できるようになるわけでもない。本書でわかるのは、おそらく企業のカルテである財務諸表がきちんと理解できるようになるということだ。


最低限の会計を理解するということは、財務諸表、中でもバランスシートが真に意味するところをきちんと読めるようになる、つまり我々が所属する企業の、もしくは自分が経営する企業の現在位置を示すカーナビを手にすることと同義だ。
カーナビがあれば現在位置がわかるし、現在位置がわかればこそ、未来への道筋がわかる。これらは片一方だけでは必要十分条件ではない。
P1030614
僕はこれまでなんとなく所属会社の決算書を読んでおり、有利子負債とか税前利益なんかを重点的に斜め読みするに留まっていたんだけど、本書のおかげで、より深くまで会社の健康状態を知ることができるようになったため、まだまだ若手というポジションを生かして、心置きなくクリティカルなイヤミを社長に直言したい(笑)


ファイナンスの部分では、やはり新書故にほんのさわり程度にしか紹介されていないので、金融工学方面の諸兄には「?これがファイナンス?」という内容ではありますが。「投資判断の決定プロセス」という段落はとても直感的にわかりやすく図解されており、興味深かった。


これら会計・ファイナンスという分野も例に漏れず、経済学や他の学問と同様、シンパによって拠って立つ土俵が異なるため、一概に本著者の意見が正しいとも言い切れませんが、手軽に全体像でも把握してみっか、レベルの知識を持ちたいヒトには俄然オススメできる1冊。


40年も前から京セラが提唱するアメーバ経営は、会社を小さな組織に分割し、小さな組織ごとに独立採算制とするもので、いわば損益計算書に沿ったものの考え方だ。今でも多くの会社で、部署に付されているのはこの考え方だと思う。
経営者というのは、起業するとまずキャッシュフロー計算書だけとにらめっこする。その次に損益計算書とにらめっこするというステージにくる。通常、バランスシートというのは、これまで通知表みたいなものでしかなかったが、今後はバランスシートがメインを張る時代になるという経営者もいる。
そういったパラダイムシフトの時代だからこそ、一層本書を読む価値は高い。
P1030608
先日、金融商品取引法は施行され、来年度から上場企業は内部統制が義務化されます。また欧米のコンバージェンスの流れを汲み、日本における2009年問題、つまり会計基準の国際的統合が加速することが決定している昨今、経営者やCIO、CFO、会計担当者ではない我々一般リーマンにも色々とナニなことがあるのでしょうかね。