訃報 速水優氏 死去
速水優・元日銀総裁が16日に亡くなっていた。
哀悼の意を表します。
時事ドットコム:「強い意志」貫いた人=桜井経済同友会代表幹事−速水元日銀総裁死去
速水氏は、個人的にとても思い入れ深い総裁だ。
氏が総裁を務めたのは、98〜03年の5年間で、日本経済は未曽有の金融危機とデフレ不況に直面していた時期。
そして僕が経済学部の学部生として入学したのも98年。
経済学を学ぶ真っ只中で、目の前で我が国のマネーをこねくり回していたのが氏だった。
「教科書と違うじゃないか」
「なんてゼロ金利!っつか実質でプラス金利ぢゃねーか、このタコ野郎」
「マンキューからやり直して来い」
などと、同じ学部の友人と酒を飲んでは貧乏一間の学生アパートで、いちごのコテハンを追いながら氏を知ったかぶりでなじっていたものだ。
速水氏が舵取りをするたびに、僕らは一喜一憂した。
ゼロ金利解除して、さらに戻すというツンデレな施策を打った時なんて、もうね。
当時、僕らが習ったり、考えていた方向とまったく明後日の方向にいくものだから「この未曾有の就職氷河期は速水のせい!」などと、デフレの帝王aka吉野家の牛丼を食いながらまたイキがっていたものだった。
その一方で、速水氏の一挙手一投足で教科書以上に現実は奇なりということを勉強させもらっていたなんて、こういう風にならないとわからないものだから、まだまだ僕はガキだと思う。
最終的に氏の採った方策を支持するには至らないけども、あの時代、経典のように教科書を繰りながら、この国の行く末を考える氏の眼差しをつぶさに観察できたことは、僕にとって良い学びであったし、青春時代に見た銀幕の俳優のようでもある。
そして、僕は未だに吉野家の牛丼を憤懣やるかたなく喰っている。
RIP
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