「不謹慎な経済学」は確信犯的に不謹慎ではない
田中先生の書いた新刊本「不謹慎な経済学(講談社BIZ) (単行本) 」を読んだ。
著者の本を読むのは学生ぶりかもしれない。
最初大学生の時読んだのは、経済学界以外に衝撃を与えた「エコノミストミシュラン(単行本 - 2003/10)」。その次に、大学院生の時に読んだのが「経済論戦の読み方( 2004/12/18)」だったかな。
- 作者: 田中秀臣,野口旭,若田部昌澄
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
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- 作者: 田中秀臣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/12/18
- メディア: 新書
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経済学にゆかりのある方々にはリフレ派として有名な田中先生だが、特に上記らの本が売れた頃、世間ではいわゆるトンデモ系と揶揄される経済学者っぽい人たちが猛威を振るっており、例えば、金子勝(慶應義塾大学:財政学,マルクス経済学)、竹中平蔵(慶應義塾大学)、斎藤精一郎(千葉商科大学:金融論)、野口悠紀雄(元東京大学:公共経済学)といった御用学者が流布するトンデモ経済学に押されていて苦境の日々だったように感じている。
特に慶應義塾大学からTV局に派遣されてくる御用学者の質の悪さは中国産のそれと同等で、いやはや門外漢の分野にそこまでしったかぶり口調で意見言えるってすごくね?と、経済学界は閉口していた。
あと、学者とは言えないが森永卓郎(経済アナリスト)から発せられる怪電波のクオリティの高さも目を見張るものがあったが、こちらは微笑ましい。
森永さんのオタクっぷりは好きなんだけどね。あと悟りを啓いた非モテっぷりとかもgood。
先日の日曜日に、彼がこのクソ寒い中渋谷駅前をでっかいスーツケース2個を汗だくで牽いて、僕の横を通り過ぎていったことは記憶に新しい。
で、本書「不謹慎な経済学」ですが、下記のような煽り文句は門戸開放みたいなもんで、中身は直近の出来事を、"本来の"経済学できちんと説明する、というかなり真っ当なものだ。
常識のウソを暴き、「正しい暴論」で世の問題を解き明かす
新しい経済学の誕生!「パリス・ヒルトンは刑務所に入って得をした」
「最低賃金を引き上げると、失業も雇用も悪化する」
「官僚の天下りは、本当は正しい」
「オリンピックやサッカーワールドカップが終わると、開催国は不況になる」
先に挙げたトンデモ系御用学者のせいで、経済学というのはゼニゲバで、何よりもカネ重視で、資本主義マンセーで、弱者切捨てで、前提が多すぎて実際は役に立たない社会科学、といったイメージがはびこってしまった。
田中先生は、経済学の威厳を取り戻すためという点もあったかもしれないが、それ以上に、「経済学は、まず誰よりも現実世界に生きる人たちが、できるだけみんなしあわせになるように考えられた学問」という、経済学の本質を、一生懸命伝えていらっしゃる。それがこの本である。
経済学に触れたことすらない方、経済学を斜め読みしかしたことない方、経済学に穿った先入観をお持ちの方、経済学に失望した方、かつて経済学を信奉した方、これから経済学に触れてみたい方、そんな方々を振り向かせたくて、ちょっとお茶目に煽った文句の書名をつけてみただけです。(きっと)
僕もずっと経済学を専攻してきた者として、"経済学がどれだけ色んな人の幸福を目指した(目指し続けている)学問であるか"、ということを本書を通して色んな人が知ってくれたらと思う。
実際、経済学はかつて哲学から生まれた本当に心優しい学問です。
いつか息子ができたら、僕は絶対に経済学の道へ一度は進んで欲しいと願う。
なにせ僕自身が、世界一尊敬する父を追って経済学の道へ進んだのだから。
それより先に、日銀は早くリフレ政策しなさいよ!何年待たせるんだか。
- 作者: 田中秀臣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/02/21
- メディア: 単行本
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